天候に恵まれ、高度感(恐怖感?)も存分に味わえた山行で気持ちが良かった。
【登山期間】;2013年8月15〜18日
【山 域】;北アルプス/滝谷
【参加メンバー】;天野、菅野、黄、岡野、吉田、東家
【日程・行動概要】
15日;埼玉(2:00)⇒沢渡P(6:00)→上高地〜涸沢(14:00)
16日;CS(5:00)〜北穂南陵BC…ド−ム北壁…CS
17日;CS(5:30)…ド−ム中央稜…南岳西尾根…CS
18日;CS(6:00)〜涸沢〜上高地→沢渡駐車場⇒各自帰宅
吉田記
8月15日(木) 晴れ後曇一時雨
6時ぐらいに、両車とも沢渡第3駐車場にほぼ同時刻に到着。6人以上で団体割引が適用されるため、上高地までバスで行くことに。しかし、これが大誤算。乗り場についてから初めに来たバスには乗ることができずに2台目のバスとなり、荷物もバスの下に入れることができず膝に抱え、しかも途中で乗車してきた人たちが乗る際も降りる際も運転手と何か話し合っている間中ずっと停車するなど、上高地に着く時刻が大幅に遅れてしまいぐったり。次回はタクシーにするべきと全員心に誓ったはず。
上高地は割と閑散としており、河童橋も大した賑わいにはなっていなかったのには驚いた。
14時には涸沢に到着したが、こちらもテント場は大した賑わいではなく、まずまずの場所に2張りすることができた。
涸沢ヒュッテのテラスでビールとカレーを楽しんだが、おでんは売り切れであった。また、カレーも3年前に食べた時よりも質が落ちているような気がした。歓談している途中、時折雨がポツポツと降る天候ではあったが、テントへ退避するほどではなくビールを楽しむ。夜はいくらか雨の音がテントに響いた。
8月16日(金) 晴れ後曇り
3時起きの5時発。涼しいうちに北穂への急登を登っていけるのはありがたい。北穂のテン場には水がないため、1人2リットルの水を余分に担いで登るのはやはりきつい。夜の雨でフライが濡れているかと思いきや、乾いていたのはフライ担当としては大変嬉しかった。
この日はドーム北壁をやってみることに決定。
ドーム手前の一般ルートから北壁方面に右折し下っていく。メンバー6人を、リードができる天野・菅野・黄の3つのパーティに分けて体重別に組み合わせ、天野・吉田、菅野・東家、黄・岡野という組み合わせに決定。
天野・吉田が北西カンテ、菅野・東家が右ルート、黄・岡野が左ルートを上ることに。各ルートは2ピッチと短いため、1本やって物足りないようであれば、2本やることに。
ところが、左ルート以外は問題が! 私たちの北西カンテでは、あまりにもボロボロな残置ハーケンが恐怖心を掻き立て、上ることを断念。結局黄・岡野ペアが上った後の左ルートをいくことに変更。
アブミを使った人工登攀が中心のため、私がリードをさせてもらう。本来は2ピッチのようだが、下部40メートルを2ピッチに区切り、3ピッチ(吉田−天野−吉田)で行くことに。のっけからかぶった岩に苦労する。先に行った黄さんが苦労せずに行けていたように見えていたから自分も人工ならばと思いリードをさせてもらったのに情けない。。。 テープアブミのため、足の置き方次第ではシューズに食い込んで痛い。
2ピッチ目は天野さんがリードし、自分も疲れた体(1ピッチだけで既に激疲れ)で何とかこなしたが、ビレイしてくれていた天野さんに「3ピッチ目も天野さんどうぞ」と言ってしまう。が、「こんな狭いところでは代われないよ。そのまま行っちゃって。」とのお言葉。そのまま3ピッチ目に突入する。
これがまた大変。人工登攀はないが、ラインの取り方が今の自分のレベルでは直登できず(先にリードした黄さんは直登)、左に大きく回り込む結果に。下からでは直登するつもりでいたため、あらゆる所にヌンチャクをかけ、ロープも気にせずかけてしまっていたこともあり、ロープが大きく曲がる箇所が2箇所もできてしまい、上るのに相当難儀する。上るのもそうだが、セカンドを確保するためにロープを引き上げるのも相当辛い。下手にリードをしてしまうとこのような結果を招くことは知ってはいたが、身をもって知ることができた。
いろいろあり、この1本で全員十分であったため、北穂高小屋に向かいビールで疲れを癒やす。残念ながら槍方面の展望はないが、常念方面の展望を楽しみながら小屋のおかげで風を避けることもでき美味しく飲む。
テン場に戻ると浦和渓稜さんもおり、明日は各々がドーム中央稜を目指していることがわかる。浦和渓稜さんは明日のうちに上高地まで行くとのことだったので(私たちは涸沢まで)、夜明けと共に発っていただき、私たちは6時ぐらいに出ることと(何となく)決まった。
快晴 |
北穂南稜 |
ド-ム北壁 |
8月17日(土) 晴れ後曇り
4時に起きゆっくりと朝食をとる。浦和渓稜さんを見送り、私たちは小屋までスッキリとしに行った後にドーム中央稜を目指す。鎖場の下あたりにあるザレ場の踏み後を下りていき、草付きの岩場をクライムダウンしていくと、懸垂下降をしている浦和渓稜さんの姿が確認できた。私たちもそこに向かうか迷ったが、天野さんが中央稜のほうに向かっている踏み後がどうしても気になるらしく本来の行き方と違うルートを進む。ビンゴ! 中央稜取り付きのすぐ横に下りられる支点を見つけ、私たちはそこから懸垂下降をすることに。結果、1番手で取り付くことになった。浦和渓稜さんに譲るべくのんびりと準備をしていたが、取り付きに次に現れたのが別のグループの2人組の方だったため、そのまま私たちが3人×2組で登攀することに。最初はリード黄に岡野・菅野、続いてリード天野に東家・吉田と決まった。
以下、ドーム中央稜は東家記
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参加メンバー:Gr1:黄(L)、岡野(F)、菅野(F) Gr2:天野(L)、東家(F)、吉田(F) ※クライム順
1P:<体感グレードV>
凹角部から取り付き、左部を直上。最初の支点で凹角部に戻る。そのまま登るとチムニーに突入するが、ザックが物凄く邪魔。左のフェースをA0で強引に登る。最後、チョックストンを越える部分が大変狭く、1回上体を後ろにもっていき、ちょっと上から入る感じだと、なんとか通過できた。精神的にもぐったり。
2P:<体感グレードW>
左側の登っていくとバンドに出る。初手のホールドが抜けそうなのが多く注意。バンドからはカンテを回り込む。スタンスはしっかりしているが、最後テラスに乗り上げる際、スラブに立ちこむ。ホールドは全然なく、フリクションを信用するのみ。かなり怖かった。高度、露出感はあるものの、登るのは難しくなかった。
3P:<体感グレードT>
2つのテラスを歩く感じ。高度感もないため、ホッと一息なピッチ。
4P:<体感グレードW>
凹角部を登って最後はチムニー。スタンスがしっかりしてるので登りやすい。最後、チムニー通過は三角岩をハグしながら体を上げていく、三角岩の後方にはホールドがしっかりあり、通過はそんなに難しくない。終了点はテラス。
5P:<体感グレードV+>
凹角をまっすぐ登る。途中、フェースにはハーケンが数個打ってあるが、そこは直上せずに、右側にトラバースし、チムニーを抜けて終了。1P目と異なり、ここのチムニー脱出は難しくない。
全体を通して、2P目はカンテのところで非常に高度感のある登攀だが、他はテラスが広く、高さによる恐怖感はそこまで
ない。ホールド、スタンスも結構あるので、登り易い。個人的に1P目がすごく大変だったが、他が想像してたより、
難度が高くなかったので助かりました。
※体感グレードは個人的な感じかた(全部フォロー側ですが・・・)。
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1ピッチ目について、フォローで小型のアタックザックだったのは私のみ(菅野さん・岡野さん・東家さんは縦走用ザック)であったため、せっかくなのでチムニーからチョックストンを越えるべくトライ。ザックが小型の分、特段の不自由なくグイグイと手足背中をフル活用し少しずつ上っていくことができた。1箇所座って休めるポイントもあり、フリーで行くことに成功できたのは嬉しかった。また、待ち時間は寒さのため(全て日陰)、上着を着ないと辛い状況であった。最終登攀者である私が終了点に着いたのは11時半頃。
昨日に続き至る所で落石の大音が響いていたが、事故には繋がっていないようで一安心。
北穂テン場を立ち退き涸沢に直行し、イカめしほか多数のおつまみでビールを楽しむ。最高のひととき。
中央稜2P |
最終P |
8月18日(日) 晴れ
4時起きの6時発。
退屈な帰り道を順調に消化し、待ち時間なくバスに乗れ、しかも荷物は下に入れることができたたため快適。やっぱりバスもいいもんだと考え直す。
竜島温泉せせらぎの湯は、登山客でかなりの賑わいであった。露天風呂が5人までと小さいのが残念だが、なかなか良かった。途中、レストラン十字路の先のレストラン(名前は忘れた。カレーの牛すね肉がグッド)で腹ごしらえをして帰ったが、帰りは事故や故障車の影響からか、当初の渋滞予測とは違い各所で渋滞が見られた。