2017年山行記録


登山期 間 2017年4月29〜5月1日
山域 北アルプス/爺ヶ岳・冷尾根
参加メンバー 伊藤、藤井、稲葉(記)
日程・行動概要 4/28:浦和(22:00)-大谷原駐車場(02:00)4/29:大谷原駐車場(7:00)-最終砂防ダム下渡渉(9:00)-1971P(12:00)
4/30:CS(6:00)-略奪点2400m付近(10:00)…3ピッチ終了(13:30)-北峰(14:00)…爺ヶ岳山頂(14:45)→主稜線2400m付近(16:00)
5/1:CS(7:00)-二股出合(10:00)-大谷原駐車場(11:00)-薬師の湯  -昭和軒-各自帰宅

今年は子供二人が保育園から小学校になり子育ても一区切りついたところでGWは昨年よりレベルUPしたかった。エリアは後立、3日工程と決め、中日はガッツリ山と向き合いたいと考えた。4月からの記録をネットで探していたら爺ヶ岳の冷尾根が目にとまった。東尾根より1箇所ロ−プを必要とする雪壁のピッチがあり、マイナ−そうなので候補にあげる。鹿島槍ヶ岳のダイレクト尾根も両天秤にかけたが「山の上で泊まる」気持が勝り止めた。

28日 「仕事が終わりません」と藤井からメ−ルで連絡があり伊藤君二人で浦和から出発。睡魔に襲われるも無事大谷原へ到着。周囲には残雪があり今年の雪の多さを感じる。二人ならテント不要の為、車で5時まで仮眠をとる。29日 晴のち霰(雷) 朝起きると藤井のエクストレイルが停まっていた。これで本日の核心はクリアしたか。何とか5時に起き、7時に出発。我らだけは橋の前から冷川の右岸林道を歩く。林道脇にはフキノトウが顔を出し味噌を持ってこなかった事を悔やむ。砂防ダムを難なく二つ超えると記録通り巨大砂防ダムに出くわす。ここから対岸の尾根に取り付く為渡渉点を探すが良いところが見つからない。逡巡しているうちに、どんどん雪代が増えていく気がする。上部のゴ−ロ帯を藤井が一番先に渡り出した。しかし、大ゴケしたのか靴下を絞っている。相変わらず笑わす。伊藤君は下部で何とか渡り切ったらしく対岸に到着。自分は中間部で木を上手く伝って一歩ドボンしたが渡れた。意気消沈の藤井へ手招きして同じところを渡らした。1時間ロスしたが、久しぶりの山の洗礼は日常で固まった心をワクワクさせる。 ここから小沢の雪を繋いで尾根の末端に上がる。アイゼンを付けて元気な藤井を先頭に快適に登る。1971Pまで明瞭。辺りは開けたブナ林で見とれる。左寄りに合流すると痩せ尾根にかわりモミの木が出てくる。南に大町が見えて「山に来たなぁ」と感じる。岳樺の斜面をひと登りすると平らな1971Pに到着。正面に爺ヶ岳まで続く冷尾根はなかなかだ。天気は下り気味、北風が強いので少し降りた斜面を削ってテントを張る。13:00頃から霰が降り雷も近づいてきた。酒を入れて恐怖を紛らわし、早めに飯を食って就寝。30日 快晴 朝から抜けるような空で期待が持てる。冷え込みはほとんど無く、踏みしめる雪が柔らかい。上部で苦労しそうだ。目指す略奪点はまだ高くはっきり見えない。 2045Pを過ぎると尾根が痩せ始め白馬主稜の下部を思わせる。遠く見える鹿島槍は雪が多く真っ白。強い陽光で腐り始めた雪面は早くも膝までもぐり、先頭行く藤井も大変そう。 尾根は略奪点手前が最も急峻で右の西沢側は雪庇が張り出し高度感満点。反対に左の冷沢は緩やかなルンゼを出合まで落としており仮に落ちても怖くない様相。尾根は見事に雪壁に吸収され消え、略奪点に到着。ここまで3時間かかったが天気は相変わらず快晴で気分が軽い。スタンディングアックスビレイで藤井を送り出す。傾斜はなかなからしく慎重に登っている。途中にある細い岳樺でランナ−をとり、左上して60m目一杯のばすと大岩の基部で1ピッチとなる。ミッテルに伊藤君、ラストに稲葉で続きそのまま釣瓶でリ−ドする。4月等の記録では2ピッチ目はアイスフル−トを直上し左へ乗り越し北稜へでるが今回はビレイ点から左にトラバ−スを試みた。少し行くと太い岳樺もあり雪が落ちていた今回は、こちらが楽そう。見下ろした北稜はキノコ雪の尾根を形成し手強そう。水分たっぷりのザラメのおかげで新品の手袋がグショグショだ。40mくらいで、やはり良いところに岳樺がありピッチを切る。相変わらず日差しは強く、ルンゼのあちこちで雪崩を見る。ラスト藤井が、そのまま3ピッチ目に向かう。難所は越えたらしくスルスルロ−プがのびていく。3ピッチ目終了点からロ−プをしまい、すぐそこに見える主稜線を目指す。正面から強い風を受け剣岳がド−ンと見えた。たっぷり時間をかけてしまったが、ここまで誰にも会わずル−トを独占出来た事に感謝。振り返るトレ−スが誇らしい。いつもお腹いっぱいで頂上をパスするが、ちゃんとの爺ヶ岳中央峰を空身で往復し踏む。代わりに明日は下山のみ。当初、種池山荘をテン場としていたが思ったより遠いので赤岩尾根手前の樹林帯で泊とした。5月1日 雨 夜半から風がテントを揺らし、朝の冷え込みも無く天候が悪化したようだ。外は小雪。ラ−メンを食い、とっとと下山開始。赤岩尾根の出だしで西沢に迷い込みそうになったが伊藤君のGPSで確認し事なきを得た。反省。高千穂平を過ぎると雪は雨になり腐った雪に足を取られ歩き辛い。忠実に夏道を下るが傾斜も急でグズグズ雪が危険極まりない。途中、伊藤君が宙を舞い肝を冷やす。無事、西俣出合に着く頃には、すっかり本降りになりウェアがビショビショ。革靴もいよいよ浸水しそうになる頃、大谷原駐車場に到着。昨年の雄山に続いて山頂に立てることができ、一日だが快晴の下、雪稜を楽しめ満足の合宿で終わる。爺ヶ岳東面はコンパクトにまとまって集中して登れば面白そうだった。今後正月の東尾根も視野に入れてチャレンジしたい。


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