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【登山期間】2000年5月3日〜6日
【山   域】北アルプス/槍ヶ岳/北鎌尾根
【参加メンバー】小沢、稲葉(天野、伊藤 ※横尾尾根より合流) 計4名
【日程・行動概要】
2日;東川口…中央道…松本⇒中房温泉
3日;中房温泉〜燕山荘〜大天井岳冬季小屋
4日;冬季小屋〜貧乏沢下降点〜北鎌沢右俣取付き〜独標〜北鎌平手前
5日;CS〜槍ヶ岳〜大キレット〜北穂高
6日;CS〜涸沢〜上高地

稲葉記
5月3日 晴れ           
 中央道の大渋滞のおかげで6:00頃中房温泉に到着。天野、伊藤ペアに見送られ、急登に取付く。大学3年の夏、東鎌からまぶしく見えた北鎌にいよいよ挑戦する。あれから5年か、と懐かしく感じる。トレースはしっかりしていて、登るペースも自然に上がる。しかし、合戦小屋から僕がバテてしまい小沢さんに先行してもらう。燕山荘では29日に降った雪は膝ぐらい。風は強いが3000mから下の稜線は晴れ、大天井までの道が遠く見える。とても北鎌のコルは無理そうだ。ここからもトレースが残っており、どんどん小沢さんに置いてかれる。結局、最後の大天井への登りでバテバテになってしまい、この日はここまで。初日でかなりへこんだ。夕方から冬季小屋は10人でいっぱいになりシュラフを剥いで寝るほど暑かった。
5月4日 晴れ             
 ヘッ電を着け、小屋を出発。ガスの中トレースを追う。それでも、視界が利かないと怖い。トラバースが上過ぎたらしく、ずっと下に夏道跡を見つけ、ホッとした。小屋脇の雪洞に昨日一緒だった単独行の人が居た。先はトレースが無いらしいが、幸いガスも晴れ始め、目指す北鎌尾根が見えた。ここからは稜線をたどる。雪は良く締まっており、この分なら貧乏沢も期待できそうだ。下降するコルに着くと、明かにそれと分かる北鎌沢がものすごく急峻に見えた。すでに日が当たり始めており、急いで下りにかかる。沢の雪はデブリを避けるとすぐ潜ってしまい途中から尻セードに変えガンガン下る。天上沢に出てからは静寂という言葉がぴったりだった。森に目を向けるとリスが走り、大自然を感じた。出合からの北鎌沢はそれほど急ではなく、楽しょーに思えた。が、600mを一気に登り詰めたので最後の50mで僕のペースは急降下、ヘロヘロになりながらコルに這いあがる。湯俣からのパーティーは予想以上に多く10パーティーは居たと思う。大休止のあと、小沢さんはそのままストックでガンガン登って行く。やっぱ、この人には敵わない。独標は巻かずに雪の詰まったルンゼ状のところを乗り越し、直登した。独標からの槍は大きく、すぐ着きそうに見えた。しかし、ここから鎌尾根らしくナイフエッジが現れ、きわどい所もあったがザイルを出すほどではない。北鎌平手前でとうとう僕がギブアップしてテントを張る。ブロックの切り出しではへとへと、こんなに歩いたのは久しぶりだ。成田君から借りたマジックマウンテンのテントはジッパーが調子悪く、ちょっと不安だ。
5月5日 快晴  
 予想どおりの快晴に思わずニンマリ。おもわず「俺ってやっぱ晴れ男じゃん」と思った。ファーストトライはたいがい天候に恵まれているのだ。テン場から岩場を右に巻きすぐ北鎌平、風を遮るものがない。槍直下には既に先行パーティーが取付いていた。バイルがあった方が楽だ。雪が締まっているのでガシガシ登れる。かなり急になった所で小沢さんが7:00の交信を入れる。横尾尾根パーティーも稜線直下らしい。核心部は岩溝に若干の氷が混ざるミックスだが、ホールドは豊富、すぐ左に回りこむと頂上だった。幸い空いていて渋滞もなく、サクッと肩へ下降できた。見下ろせば槍沢が素晴らしい斜面で続いていて、スノーボードが欲しくなった。横尾パーティーと交信した結果、彼らもこのまま合流して縦走することに決めた。目標は天狗のコル。…無理だ。
 中岳に差しかかる頃から無風になり、アイゼンに団子雪が付き始める。痛快な尻セードで下りは楽しい。J.Pには既に天野・伊藤パーティーが居た。横尾尾根はノートレースでラッセルが大変だったらしい。南岳小屋へ降り、いよいよ大キレットへ、日の当たる雪がどんどん腐ってくるので、下降は緊張した。最後のハシゴは懸垂で降りる。ここまでで伊藤君はすっかり肝を冷やし元気がない。長谷川ピークから鎖が連続しザイルを出す。北穂への急な登りを前にA沢のコルで大休止。とにかく雪が腐りきる前に登らないと…。夏はラクショーの登りも嫌らしいミックス壁となって、今回の山行の核心と感じた。
 滝谷側を巻く所で再びザイルを出す。金色に輝く滝谷は残照で絶え間無くカラカラと氷を落としている。「オレも何時か」と心に誓う。B沢のコルで小休止、あとは北穂まで雪壁だけだ。ステップを忠実にたどりながら、何度も振りかえる。大天井は遥か彼方。イエーイ。
 北穂山頂で写真を撮り、松波岩から50m離れたところにテントを張る。予定の西穂はあきらめ、明日は下山。夜の涸沢はネオンの様に光っていた。

奥のピークは独標

独標から槍を望む

快晴の槍山頂

大キレットへ
5月6日 晴れ
 稜線はガスだが涸沢は朝日を受けている。天気は良さそうだ。テン場から一気に北穂沢を下る。雪が締まっているので、そんな速く下れない。グシャ雪なら全部尻セードできるかも? 傾斜が落ちてから、皆で一斉に尻セード。ザラメでズボンはすっかりテカテカに磨り減ってしまった。下山するパーティーは多く、トレースに合流してサクサク歩く。本谷は雪で埋まり沢沿いに下れる。小沢さんと天野さんはいつものノンストップで見えなくなってしまった。伊藤君とゆっくり下りながら、来年は八ツ峰に行きたいなと思った。そして、必ずホタルイカを…。