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【登山期間】;2001年10月27日〜28日
【山   域】;谷川岳/一ノ倉沢・幽ノ沢/中央壁正面フェース・衝立岩ダイレクトカンテ
【参加メンバー】;外山、藤井 計2名
【日程・行動概要】
26日;23:00府中本町駅集合→02:00一ノ倉出合C.S
27日;起床(06:00)→C.S発(07:00)→T1尾根下(08:00 登攀具装着30min)→正面フェース登攀開始(09:30)
    →2ピッチ目終了(10:30)→4ピッチ目終了(11:30 休憩15min)→登攀終了(15:00 休憩30min)→堅炭尾根(15:45)
    →芝倉出合(17:30)→C.S着(18:15)
28日;起床(05:30)→C.S発(06:30)→ダイレクトカンテ登攀開始(09:00)→2ピッチ目終了(13:00)→テールリッジ(14:30)
    →C.S着(17:00)→帰宅

外山博記
10月27日 快晴 『中央壁正面フェース』
 幽ノ沢の下部は水線どうしに通過できたが濡れている部分は相変わらず猛烈に滑るので注意が必要。カールボーデンをトウフ岩直下を目差して登ったところ、15人ぐらい座れる平坦地に出る。ここから左上に伸びるリッジがT1尾根。なぜか人が多く、左フェースに5人、左方ルンゼも5人くらい、後はV右に2人と3人の2パーティーと大盛況。
 藤井に”核心リードする?”と聞くと”この天気だったらいきたいです”というので今日のオーダーが決定する。目差す正面フェース取り付きは、トウフ岩の下を横切るバンドを右フェース側に寄ったところ。平坦地から先もノーザイルで登るが何箇所か難しいところ(Wぐらい)が出てくる。傾斜が強くないので何とかなるが不安であればザイルを出すことをためらってはいけない。が、支点は殆どないので自分で作るしかない。多分、カールボーデンの右側のリッジというか膨らみを直上するのが一番無難で簡単と思われる(V右とかの時に通るところ)。
外山トップで登りだす。1ピッチ目。取り付きから続く草付(というか草)を踏後に沿って登る。アウトローの私は草付を避けて登っていたが、ついつい右フェース側に出てしまう。草付の途中に赤テープのミッチェルがあったのは分かったが、すぐに戻れると判断して上りやすい岩の部分を登っていったがなかなか戻れる場所がなく、このままではトウフ岩よりもはるか高くに追いやられそうだったので仕方なくクライムダウンし、途中の踏後からミッチェル目掛けて登る。笹と草を束にしてのホールドで、足場も良くない。ランナーもとれないのでガイドではUになっているが結構悪い。このルートでかなり時間を食ってしまった。1ピッチ目ビレイポイントから今後のルートを偵察。日本の岩場に出てくる3ピッチ目の凹角らしきものが帯状ハングの真中あたりに見えるがこれは間違い。ぱっと見ではこれがルートに見えるが多分これは正面ダイレクト。実際には2ピッチ目はトウフ岩の上を左上にひたすらトラバースして壁の反対側まで行く。2ピッチ目前半は残置が皆無なのでプロテクションをとりながらの登りとなる。3ピッチ目は凹角とはいいがたい襞状フェースを登り、核心部下までザイルを伸ばす。ザイルは半分ぐらいしか出ない。”外山さん、そのまま核心も登っていいですよ”などと藤井が言い出すが、”いや、ザイルの流れが悪いから”とか言ってピッチをきる。藤井よ、登ると言ったからには登ってもらいます。
 核心はハングというよりはバルジ。日本の岩場でいう帯状ハングの最左端にあたる。そしてW+としてあるが、X〜X+はある(藤井の持っていたトポではX)。藤井がA0混じりでリードする。登ったり降りたりを繰り返した後、”死ぬかと思った”の一言を残して核心を越える。セカンドの私はフリーで行くが初見でリードだったらA0だったと思う。核心の上の草付も相当いやらしい。この、3,4ピッチ目は岩が脆い部分があるのでその点でも注意が必要。ただし、ルートの核心だけあって残置も多い。新しいハーケンもみられたが岩が脆いからか軟鉄ウェーブハーケンが多い。
 核心は終わったが終了点まではまだまだ200m近く登らなければいけない。5ピッチ目はカンテを右上に巻くようにしてルート上部の大きく開けたルンゼに出る。ここから上、ハングにぶつかるまではルンゼ内を適当に登るがビレイポイントが確立されていないので自分で作る必要あり。7ピッチ目、セカンドの藤井がハーケン回収時に失敗。”あっ”という声とともにハーケンがキンキンいいながらながら落ちていった。やっぱクロモリは音が違うぜ。去年も同じようなことがV右であったことをしみじみと思いだす。が、今年は運よくハーケンが草付に引っかかって回収できた。と思いきや、8ピッチ目をリードで登りきった藤井がビレイポイントでハーケンをうち損ねて私目掛けてハーケンが落っこちてきた。手を伸ばせば受け取れる範囲に落ちてきたのでキャッチしようとしたが、うなりを上げて回転しながら落下してくるナイフブレードに恐れをなして手を引っ込めてしまった。とゆうか、受けとめてたら手に穴が空くか指の一本も折れていたと思う。藤井、落多すぎ。
 9ピッチ目、ルンゼから抜け出すが濡れている部分がいかにも滑りそうでいやらしい。このあと、2ピッチの草付で登攀終了。難しくはないが、いやらしいのとランナーがないので慎重に登る。藤井はハンマーの変わりにミニバイルを持参していたがかなり有効だったようだ。
 終了点から堅炭尾根まで15分ぐらい。時間がないので芝倉ピストンは止めにして急いで下る。泥が滑るのであまりとばせない。尾根からの分岐を過ぎて一安心。ぎりぎり懐電なしで芝倉出合に到着、あとはちんたらと一ノ倉目差して林道を歩く。
 正面フェースは思っていたほど良いルートではなかった。岩の難しさでは核心ピッチ以外は問題になるようなところはない。逆に、草付がかなりいやらしく長い。岩に草が生えているどころではなく岩壁そのままの傾斜で藪を漕いでいるようなものなのでランナーとれないしスタンスないしでリードするのは良い気分ではない。
 下部のルートファインディングは安易に考えると間違えやすい。残置がすくないので追い詰められる前に考えなおす必要あり。自分でビレイポイント、プロテクションが取れない人は、行ってはダメです。
 使用ギア:ラープ×1 ナイフブレード×3、バカブー×1、マイクロキャメロット(0.5×1、 0.75×1)、ボールチョック赤×1、ウォールナッツ 6番×1 残置なし

10月28日 曇りのち雨 『衝立岩ダイレクトカンテ』
 5時起6時発の予定だったが30分遅れの出発。何故か昨日の幽ノ沢よりも人が少ない。幸いダイレクトカンテは私たちだけなので自分らのペースで登れそうだ。2人とも初めてだがアンザイレンテラスまではフィックスがあるので迷わない。そこから懸垂して取り付きへ。
 1ピッチ目藤井リードでスタート。この時点で頭上には重そうな雲が...。右へのトラバース地点を迷いつつ藤井が進む。トラバース後の浅い凹角も所々濡れていて快適ではない。さて、問題の2ピッチ目。外山リードでGo!出だしがいかにも浮きそうなフレークだらけで結構いやらしい。残置のお助けを散々使って進む。後ろにパーティーがいないので焦らずゆっくり登ることを心がけたらゆっくりしすぎて2時間近くかかったらしい。本格的な人工のリードは始めてなので慣れるまで時間がかかる。テイスティングをしながら慎重に登り、遠いところ2箇所でナッツとフレンズで前進。25Mぐらい登ったところで、雨が予想されたので2ピッチ目で降りることを決定する。左上が終わると傾斜も落ちてペースがあがる。しかしビレイポイントがこんなに遠く感じたのはさすがに初めてだった。ようやく登り切り、藤井を確保する。
 藤井もじりじりと登ってきて約3時間ぶりぐらいに藤井に会う。既に小雨が舞いつつあるので急ぎ下降にうつる。藤井が先に下りる。カンテの左を下降し雲表第2かミヤマのビレイポイントらしきアンカーで切る。次はアンザイレンテラスに向って左下に下降。さらに中央稜へのトラバースに入るところまで懸垂で降りる。完全に雨。中央稜に出たところで靴履き替え、ギア整理をして少しの行動食を食べて出発。雨でかなりスリッピーなスラブをフィックス頼りで下る。テールリッジの末端は仕方なく懸垂するが、傾斜が緩く風が強いのでザイルがうまくでない。散々こんがらがった挙句、50M一杯伸ばす。次も50Mだして衝立沢の対岸まで上がる。ザイルを投げずに送ってもらったらスムーズに下ることができた。次の本谷への懸垂も同様にしたがこれまた好調だった。ザイルが落ちないぐらい傾斜のないところで障害物も浮石もなければ良い方法かも知れない。普通、そんなところで懸垂しないが。この間は懐電、今回は雨の下降で雪渓が恋しくなる。雪渓さえあれば雨でも夜でも、ものの20分で出合まで行けるのに。出合につくころには雨も小降りになる。藤井と2人で、ダイレクトカンテは登れなかったが2日間フルで動けたことに満足しながら帰路につく。
 使用ギア:マイクロキャメロット 0.75×1、ウォールナッツ 7番×1 残置なし