【登山期間】;2002年5月2日〜5日
【山 域】;北アルプス/剱岳/八ッ峰
【参加メンバー】;小沢、天野、菅野、外山博、外山麻、伊藤、藤井、稲葉 計8名
【日程・行動概要】
1日;池袋(13:35)⇒富山(20:15)
2日;室堂発(9:45)→別山乗越着(12:10)発(12:50)→剣沢BC着(13:10)発(14:45)→長次郎谷出合着(15:05)
発(15:30)→U,V峰ルンゼ1/3地点着(17:05)発(17:20)→V,Wのコル着(18:30)→テン場作り開始(19:00)
→テント設営終了(20:00)
3日;起床(4:00)→C.S出(5:45)→X.Yのコル着(8:30)発(9:00)→Y峰2P(11:00)→Y峰より懸垂(12:00)
→[峰2P(15:00)→[峰(16:00)→八ッ峰の頭(17:00)→池ノ谷乗越(17:30)→テント設営終了(18:20)
4日;起床(4:45)→朝飯(7:00)→C.S出(9:00)→剱岳山頂(10:00)発(10:30)→平蔵のコル着(11:00)発(11:15)
平蔵谷出合着(12:00)発(12:20)→剣沢BC着(14:00)
5日;起床(5:00)→朝飯(7:00)→剣沢BC出(10:00)→別山山頂着(11:30)発(12:00)→剣沢BC着(13:00)発(14:15)
→別山乗越着(15:00)発(15:30)→室堂発(16:30)
稲葉記
5月1日 晴れ 『いざホタルイカへ!』
小雨の中、池袋で藤井君と待ち合わせ高速バスに乗り込む。群馬に入り、谷川が見えてくる。「剣も晴れていれば良いが…。」日本海に沈む夕日を眺めながらそう願った。
チンネ依頼、3年ぶりの富山駅は賑やかだった。立山行き21:50の最終電車に間に合いそう。待ち時間で駅ビルの飲み屋でホタルイカをほおばる。…我慢できなかった。漁師汁も美味かった。山に入る前に腹いっぱい食べるなんて初めてだ。ガラガラの電車に揺られ立山駅に着くなり駅員に追い出される。何年かぶりのステ・ビバは少々罪悪感を感じる私には丁度良いかもしれない。
5月2日 快晴 『出発』
5:00頃から人がチラホラしだし気が付くと並び始めていた。我々も大急ぎで撤収する。7:00始発には乗れず次のケーブルカーになる。毎度毎度の事だが混むな〜。5分足らずで美女平。富山側は乗り継ぎが圧倒的に少ないので楽だ。観瀑ポイントでは称名滝はもちろんこの時期しか見られないハンノキ滝も見れた。ラッキー!雪不足なのか楽しみにしていた雪の大谷は10m弱、ほとんどターミナルの手前なのね。残置するものをまとめてコインロッカーに押し込み、いよいよ出発。私はクソ重いザックにフリートレックを履く。
雷鳥平まで快適なシール登降。持ってきて良かったとつくづく思う。藤井君はシールを持って来なかったことは痛かった。雪が少ないとは言え雷鳥沢はヨダレたらたらの斜面だ。ここを帰りはかっ飛ばしたいもんだな〜。別山乗越まで2時間で到着、かなり良いペース。剱を眼前にテン場まで滑降。今回、藤井君は足首を固めるアタッチメントを付けてご機嫌だ。アッと言う間にテン場に着き、早速ツェルトに必要無い物をデポする。最後まで迷ったがシュラフは残置!ここから、フリートレックの出番である。長次郎谷出合いまでノンストップで滑降。平蔵谷を過ぎるとデブリ、ゴミ、石が多く、快適とは言えない。滑り終わった時は、さすがに足がガクガク。
これから、しばらくはフリートレックはただの重しと化す。ザックにくくり付ける。T・U峰間ルンゼを目指すが良く分からず、ルートファインティングにも失敗する。ここで時間をロスした。どのルンゼも割れていて、午後ということもあって気持ちが悪いので、良くつながっているV・Wのコルを目指し急雪壁をガシガシ登る。ふくらはぎはパンパンになり、上部は高度感万点でオーコエー!。明るいうちに稜線に着いたのもつかの間、テン場探し。とりあえずW峰に登り向こう側を見るが張れるとこは無さそう。そうこうしているうちに暗くなってしまいヘッドランプでW峰から懸垂下降。コルに戻り、1時間、雪稜を削りツェルトを張った。
5月3日 快晴後曇り 『登攀』
銀マットを置いてきたので下から来る冷気と朝の冷え込み。毎度の事だがキツイ一夜だった。昨日、ヌクヌクとビールを飲み、ホタルイカを頬張っていたとは思えない。ツェルトから顔を出すと満天の星空。今日の晴れは約束された。
出発すると雪はすっかりカチカチに凍みて快適にアイゼンを利かす。雨が降ったせいかリッジには微かにトレースが見える程度でコンテとスタカットで進む。急な雪壁には必ずクレパスが走っており、乗り越す時はダブルアックスでないと足場を崩してしまう。X峰には鋭いピナクルがあり、その中間部の残置支点で懸垂下降をする。ダブルで一気に行けそうだが、XYのコルに回りこみ気味に下降するので2Pで降りた方が良い。コルの両サイドはクレパス、ベルクシュルントだらけで左にトラバースして降り立った。Y峰がでかい。ここから核心部に突入だ。Y峰下部は岩が出ていてミックス壁となりルートファインティングに苦労する。この頃より気温も上がり雪がクサリ始める。Y峰まで一気に行けず、肩のところで休憩する。振り返るとX峰に後続パーティーが見えた。大荷物なのに、ペースが早い、抜かれるなーこれは。案の定、YZのコルで先頭をゆずった。ここまで先頭を歩いて来て神経を使っていたので気持ちは渡りに船だった。それにしても、Z、[峰は半端じゃなくナイフリッジだ。しかも、ところどころ割れていて、いつ崩れてもおかしくない。ここからは、抜かれたパーティー(九十九山岳会)とガイドパーティーの間に挟まれ順調に登る。ガイドパーティーには、いつも痛い目に会っているので、懸念して見ていたが話したら良い人だった。
「トレース辿るのは楽チンだな〜」としみじみ感じ「全部先行したら充実したかな〜」と思案ながらスタカットで進む。心配していたZ峰からの懸垂はハイ松が出ていたので問題無く、竹ぺグは無用となった。[峰へは今日一番の急雪壁が待っていた。幸い日陰だったのでダブルアックスで稲葉リード。楽しい楽しい。途中、後発パーティーと無線交信する。小沢、天野さんは今日、TUのコルにに上がって来るとのこと。[峰頂上から池ノ谷乗越はすぐそこに見える。まだ1パーティーしかテントを張っていない。いそがねば!八ッ峰の頭へは簡単な登り、すぐ下降点を探す。‘99小窓尾根の時は多くのパーティーが頭から直接懸垂していたが今回は完全に岩が剥き出しの為、いつものルンゼを2P懸垂した。ガイドパーティーには2番目にコルに到着。ここまで、藤井君も疲れたらしく、いつにも増してボーとしている。空は白み始め明日は雨かな。今日もテン場作りをするが気分はサイコー。2番煎じだが、それなりに充実した一日だった。
5月4日 曇り後雨 『登頂&滑降』
やっぱり雨だった。それも、けっこう強い雨、最悪だ。悩んでも出発以外に我々の道は無い。食料がもう無いのだ。小降りになるのを待って、のんびり朝食を摂る。フリートレックは出番あるかな?
頂上に向けてテン場を出発する。ところどころガスられるがトレースがあるので心配なし。気温が高いので場所によっては腰まで潜ってしまい、藤井君に置いて行かれる。見覚えのある急雪壁を登り、しばらく進むと社が目に飛び込んできた。小窓尾根以来、五月の剱岳だ。また雨が強くなって来たので、写真をとってさっさと下りにかかる。雪がグサグサなので前剣の下りはやだなーと話し合い、計画どおり平蔵谷を滑ることに決めた。平蔵小屋跡でフリートレックを装置。下は白一色で何も見えない。ドキドキする。
稲葉先頭で滑り出す。出だしからかなりの急斜面だ。お互い離れないように注意する。途中、藤井君が大転倒するも雪が柔らかいのですぐ止まる。がんばれ藤井!雪崩の跡が出てきたところで雪も硬くなり、足が疲れてきたが早く視界が開けないかとドンドン滑る。源次郎下部の中谷ルート手前でガスが晴れる。こうなると気持ちがいい♪。平蔵谷出合までは45分で到着した。我ながらプラ靴で良く滑れたなと感心感心。ここから、痛いほど降りしきる雨に向かい皆の待つ剣沢ベースまでに向かった。

長次郎谷を登る |

W峰の懸垂 |

Y峰の肩 |

嫌らしかったZ峰の登り |

剣頂上 |