今年の剣は予想に反して貧雪、黄砂たっぷりで雪は悪かったです。
八ッ峰上半縦走完登、久恋の剣登頂、念願のチンネ中央チムニー〜bクラックも登りました。
天気が1日夕方から2日午前にかけて暴風雨になり八ッ峰組は大変でした。それ以外は良く晴れ、特に3日は素晴らしい紺碧の空になりました。
【登山期間】;2005年4月30日〜5月5日
【山 域】;北アルプス/剱岳周辺/八ッ峰上半、チンネ中央チムニ−、長次郎右俣、真砂子沢
【参加メンバー】;稲葉ズ、藤井(遠峰)、植木(矢板岳友会) 計4名
【日程・行動概要】
29日;さくら市発(12:00)⇒糸魚川「楽々荘」⇒立山駅駐車場(22:00)
30日;立山駅(6:40)⇒室堂発(9:00)〜雷鳥平(10:20)〜別山乗越(13:20)〜剣沢着(14:15)
1日;C.S発(10:00)〜長次郎谷出合(10:30)〜XYのコル(13:45)…午後より暴風雨
2日;昼より天気回復…C.S発(10:20)…剣沢滑降…長次郎出合(11:50)〜C.S着(15:30)
3日;C.S発(4:45)〜池ノ谷乗越(9:15)〜剣頂上(11:30)〜池ノ谷乗越(13:30)…長次郎右俣…C.S着(17:30)
〜XYのコル(16:00)…八ッ峰上半…池ノ谷乗越(9:15)
4日;B.P発(5:00)〜三ノ窓(5:20)…中央チムニ−…チンネの頭(13:00)〜池ノ谷乗越(14:00)…長次郎右俣
…C.S着(18:15) C.S発(9:00)〜別山山頂(9:15)…真砂子沢滑降…剣沢出合(11:50)〜C.S着(15:30)
5日;C.S発(8:15)〜別山乗越(9:00)〜室堂(12:00)⇒立山駅⇒糸魚川「すし活」⇒帰宅
稲龍記
4月28日 『出発』
今回は氏家12:00出発という贅沢な行程で夕飯に美味い魚を食べようと言う魂胆だ。最近、剣に行く目的がグルメに取って代わろうとしている。しかし、今回はチンネ完登と言う外せない目的がある。そんな、言い訳をしながらも糸魚川で鮨屋に寄ってしまうところはヘナチョコである。腹一杯になって立山には22:00到着。明日の準備もせず寝てしまう。後々、これが大変なことに…。
4月30日 晴れ 『入山』
昨年よりガチャが多いので半シュラフで軽量化。ザイルもφ8mmは軽くて助かる。6:40の室堂直行バスに乗る。室堂に着き、まず驚いたのは去年より稜線が黒く雪が黄砂で茶色。これには拍子抜けした。砂糖に群がるアリンコのように雷鳥沢の登りへ取付く。去年とほとんど同じタイムで別山乗越へ。難なくテン場に滑り着くが、今朝パッキングにもたもたして適当に詰めた結果、私が火器を忘れたことが発覚。火器が1つの場合、計画した行程は全てオジャンだ。望みは藤井君だけだ。この日はテント前に椅子とテーブルを作り酒を飲んで終了。その後、江美子が体調を崩したが何とか夜には回復した。そう言えば藤井君にテントの場所教えていなかった。明日は無事合流できるかな。私自身、初日から大失敗の入山で先行きに不安が募る。

正面は山崎カ−ル |

流行るかも?! |

止められません! |

黄砂が憎い |

剣見酒 |
5月1日 晴後暴風雨 『合流』
半シュラ初日は寒かった。江美子の体調も考えて今日は藤井君が来るまでノンビリ待つことにする。どこか滑る予定だったが火器の事であまり出る気も起きず昨日の鍋の残りを朝食にする。9:00過ぎ頃、テントを出てふと、別山方面を見ると赤シャツのスキーヤーが滑って来る。かなりの大荷物でヨタヨタとしていて、まさか…と思ったが藤井君だった。聞けば昨日は雷鳥平でツェルトビバークだったらしい。火器も「個装ですから」とにこやかに話す藤井君は逞しく見えた。
早速、予定通りXYのコルに行く準備。雨の可能性を考えてゴアツェルトを渡す。2人を見送った後、空が白濁して来た。夕方から天気はやっぱり荒れた。日暮れと共に途中で引き返して来るんじゃないかと思うほど暴風雨に変わる。夕方も交信が取れず心配だ。予定では明日、我らも池ノ谷乗越を目指す。
5月2日 雨後快晴 『停滞』
朝の交信も取れなかったがガスも晴れない。迷った末、藤井君達も動いていないと考えて停滞を決める。予備食は無い為、食料計画を見直す。10:00頃から天気が回復し始め12:00の交信の為、長次郎出合まで行くことにする。雨のおかげで黄砂で汚れていた雪面は白くなり凹凸も少なくなっていた。別山よりの急斜面から快適なターンを楽しむ。15分で出合に到着。池ノ谷乗越まで突き抜ける青空が見える。XYのコルは見えないが八ツ峰組と交信が出来た。昨日別れたばかりなのに元気な声を聞いてホッとした。今日は虫干しで停滞するとのこと。途中から小窓尾根から入山していた小沢さん達からの交信も入る。天気予報で明日から快晴が続くと言うことで予定通り我らも頂上アタックをかける。
5月3日 快晴 『ランデブー』
テントを出発してすぐに素晴らしい朝陽を受ける。江美子も気合十分、久恋の頂上に立てることを願う。長次郎出合からもスキーを背負ったまま登る。昨日のトレースが残っていて楽に歩ける。途中源次郎尾根から落石がありヘルメットを急いで着ける。今日の空は特に澄み渡り紺碧という言葉がぴったりだ。熊の岩下端に着くとY峰を登攀中の藤井パーティーが見えた。ここからストックをピッケルに換えて急斜面の登行。雪崩の跡は雪が硬く締り緊張させられる。Z峰寄りの岩陰で小休止しようとトラバースしたがシュルンドが嫌らしく返って手間取った。
池ノ谷乗越にはテント4つ。小沢さん達はチンネに登っているとのこと。Z峰を快適に登る八ッ峰組を見とどけ、黄さんと3人で頂上に向かう。長次郎のコルからの急雪壁でザイルFIXした。頂上に着くと天野さん達と会えた。そう言えば凄い久しぶりだなぁ。今日は終始、江美子をコンテしたがまあまあ上手くさばけた。14:00にはチンネ、八ッ峰組も下りていて全員が池ノ谷乗越に揃う。明日は急遽、植木さんもチンネ登攀に行くことになり江美子だけ小沢さんと一緒に剣沢BCに下る。20分程で長次郎出合に着いたらしい。さすがだ。

剱頂上を目指す |

Y峰の登り |

バックは鋭いZ峰 |

八ッ峰の頭にて |

ドロップインの瞬間 |
5月4日 快晴 『チンネ中央チムニー〜bクラック』
いよいよ中央チムニーに登る日が来た。前日の小沢さん情報だと全然氷が無いということなのでスクリューは置いていく。カチカチの池ノ谷ガリーを慎重に下り三ノ窓に到着。人が多くテントが一杯。登攀具を身に着け右方ルンゼに入り取付きまで嫌なミックスだった。ここからリードを下部は稲龍、上部を藤井君で登る。
●1P
全く氷が無い。夏にA0した右カンテへのトラバースはフリーで行けた。レッジ手前がアイゼンだと悪く感じた。
●2P
レッジから廻り込むところはやっぱり怖かった。チムニー内にはベルグラがビッチリ張っていた。右カンテは氷が無いが残置があるか不安で左のベルグラに突っ込む。出だしでクロモリを打ってコツコツ登る。ベルグラを本チャンで登るのは初めてかも。中間から外傾したホールドに変わり非常に怖い。テンション入れた後、もうダメだと重い残置ハーケンにバイル引っ掛けを駆使して登るがやっぱり悔しい。ルンゼ出口まで思い切ったフリーで気持ち良く登れる。夏のビレイ点まで半端な氷があって嫌らしかった。この2ピッチで結構満足してしまった。
●3P、4P
中央バンドまで藤井に登ってもらう。aバンド取り付きまで雪がベッタリなので慎重にスタカットで登る。
●5P
ここから藤井にリードを譲る。今回は3人なのでトラバースの場合もたくさんランナーを取るよう指示する。日陰に入り風も強いので待ってる間はブルブルしっぱなし。でも今回も晴れて眺めは最高。
●6P
第2の核心。出だしに厳しい立ち込みだが藤井は素手になりファイト一発で登っていった。私はランナーを掴んでA0突破。さらに植木さんの為にお助けシュリンゲを垂らす。ここらへんはスピードありきでこだわらない。
●7P
お日様に再び照らされてうれしいピッチ。思ったより時間が遅くならなくて良かった。難なくチンネの頭に到着。皆でガッチリ握手。少し休憩して下降に移る。懸垂していると岡野さんが手を振ってくれた。

小窓ノ王 |

チムニ−1P目 |

aバンドをゆく |

bクラックの核心 |
チンネの頭 |
池ノ谷乗越のテン場に着きノンビリしたい所だがタイムリミットが迫っている。そう、私と植木さんは剣沢BCに戻らないといけないのだ。足がヨレヨレで滑れるか不安だが死にはしないだろうと14:30ドロップイン。出だしは腐ったザラメでズブズブ潜り板が回せない。何回か滑落を繰り返す。背中の重荷で滑落停止もままならずジタバタするだけ。そのうち2人から笑顔が消える。植木さんはハイサイドを食らってかなり危機一髪だったらしい。見れなかったのは残念だ?!何とか大岩辺りに来るとちょっと楽になる。デブリを避けて八ッ峰よりにトラバースする。熊の岩直下は良い斜面だった。
長次郎出合いからの登りは風も冷たくいくら飛ばしても汗が出ない。BC到着したころは体が冷え切ってビールが飲めなかったので熱燗で乾杯した。今日はフルフル行動で私も植木さんも体が温まるまで食欲がわかなかっった。充実した一日だった。江美子は真砂子沢を一人で行って来たとのこと。単独行を体験するのも良い勉強になると思う。
5月5日 曇り後晴れ 『下山』
朝のうち剣山頂には雲がかかっていたが出発の頃には快晴に変わる。1日雨だったが今回も十分楽しませてもらった剣に手を合わせ感謝。雷鳥沢の滑り出しは去年より急で雪もまだ硬く私と植木さんは中間から滑降した。雷鳥平は無風で暑い。すっかり雪が無くなった室堂までの道をスキーを担ぐ。観光客でごった返すターミナルで昨晩飲めなかったビールで乾杯した。