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剣岳早月尾根。早月小屋で敗退。 初日から2つ玉低気圧〜冬型気圧配置と悪天候続く。
早月小屋でベースを張り、2日間粘るが、天候・雪共に状態が安定せず、アタックを断念して下山。

【登山期間】 2007年12月29日〜2008年1月2日
【山   域】 北アルプス/剱岳/早月尾根
【参加メンバー】 藤井、黄、平野、桜井 計4名
【日程・行動概要】
28日:上野出発(23:30)
29日:富山駅(5:30) … 上市駅(10:00) … 伊折ゲート(11:00) … 馬場島荘 (12:30)
30日:出発(7:00)・・・松尾平(8:00)・・・早月小屋(16:50)泊
31日:停滞
 1日:停滞
 2日:出発(7:00)…松尾平(14:40頃)…馬場島(15:30)…伊折〜上市駅〜富山駅

桜井記
12月29日 雨 富山駅→上市駅→伊折→馬場島(馬場島荘泊)
 朝5時30分過ぎ、富山駅到着。天気は小雨。初日から装備、テントを雨で濡らすのを躊躇し、しばし行動を保留。駅前の店で、朝食を取りながら行動スケジュールを練る。夜の寝場所を探していると、馬場島荘が営業していることが判明、早速予約し、馬場島を目指す。
 電鉄富山、タクシーを乗り継ぎ、伊折のゲートから雨の中を歩く。雨脚が強まっている。荷物が重く感じられ、また雨で濡れ、甚だ不快。途中、2組のパーティとすれ違う。クリスマスに入山し、無事登頂してきたとのこと。
 歩くことおよそ1時間半で馬場島荘に到着。雪は馬場島近辺まで全く無し。宿で、濡れた装備を乾かす。
 この日、我々の他、3パーティほどが馬場島入り。県警によると13パーティが入山予定とのことであったが天候を見て多くが断念したか?

12月30日 雪 馬場島荘→早月小屋(テント泊)
 5時起床。前日の雨は雪に変わっており、新雪が5cmほど積もっている。気温は高く、寒さは感じない。朝食を取り、7時前に馬場島荘を出発。松尾平までは積雪もくるぶし程度で順調に進む。その先の急登が始まるあたりから徐々に雪が増え始め、ペースも鈍る。途中でワカンをつけ、他の2パーティと合せて10余人くらいで一緒に登っていく。雪は相変わらず降り続ける。
 1551ピーク手前あたりから先は積雪が膝〜腰程度、深いところでは胸まで。交代でラッセルしながら登る。ラッセルは空身。時折、前日の雨で表面が溶けた雪の上にどんどん積もり続ける新雪がずり落ちてくる(県警情報によると前日は早月小屋でも雨だったとのこと)。張り切ってラッセルするが、重荷を担ぐ2番手以降が歩くとやはり足が沈んでしまい、全体として進みは遅い。ラッセルを終えてヘトヘトになり、ザックを取って登り返すのが、体力的にも精神的にもつらい。南西からの風も強く吹きはじめ、風雪をまともに受ける右手と右頬が痛い。視界も悪化していく。
 ラッセルが始まってからほとんど全く休憩を取らずに登り続け、疲労がたまる。共に登ったうちの1パーティが、あらかじめ人数に対してザックの数をひとつ減らし、常に一名が空身で歩けるよう工夫しており、彼らのラッセルには助けられた。彼らがいなければ、きっと早月小屋まで辿りつけなかっただろう。
 17:00前に早月小屋に到着。我々と、少し遅れて追いついてきた1パーティがテント設営。ザックを下ろしてスコップを取りだそうとして右手中指の感覚が無いことに気づく。あわてて小屋に飛び込み、手袋を外して確認すると色が真っ白になり、凍ったように固くなっていた。小同心クラックでやったのと同じ指。やや焦る。しかし、この程度なら大丈夫。前より範囲は狭い。落ち着くと逆にやる気が湧いてきた。絶対タダでは下りん。必ず登頂する。黄さんも、平野さんも指が痺れている様子。藤井さんは無事。強い。

12月31日 雪 早月小屋停滞(テント泊)
 4時30分起床。天気は雪。しかし、風はさほどでもない。寝ている間にさらに数十センチの積雪。停滞を決定。テン場背後の丘状からの雪崩を懸念して、テント移動作業。昨晩、テント近辺に挿しておいた装備が全て埋雪。捜索作業にてこずる。全てまとめて入口に置くなどしておくべきだった。反省。結局スコップ1本が見つからず。
 午後、テント移動作業完了。その後はトイレに出るたびに、除雪作業。前日はハードな行動であったが、メンバーは皆、体力を回復、元気そう。しかし、一日中雪は降り続け、翌日の停滞を決定して就寝。

元旦 雪 早月小屋停滞(テント泊)
 警備隊に起こされる形で起床。今日も雪。我々と、テント泊のもう1パーティを残して小屋組は全てこの日に下山。我々も警備隊から下山を検討するように勧められるが、考える猶予をもらう。2600ピークまで1日、アタックに1日。下山に1〜2日。次の日以降の天候次第では、粘って待てばチャンスがあるかもしれない。食料も燃料もまだまだ十分にある。
 午前中、徹底的に雪かき作業をし、午後からは徹底的に飲む。藤井さん持参の、気品あふれる文学作品を読みながら。正月スペシャル・デイッシュ・天野さんから頂いた燻製の鳥は瞬く間に鶏がらに変貌。メンバー全員、食欲旺盛。夕刻、天気予報、小屋にいる警備隊から情報を聞き、翌日以降の行動について相談する。明日も天候の回復は期待できないらしい。入山するとき確認した通り、3日まではダメか…?
 結局、天候、雪の状態はすぐにはよくならないと判断して下山することに決める。
 昨年の前穂北尾根に引き続いての敗退。余力も物資の蓄えも十分、山頂までもう少しのところに居るのに。まったくアタックできずに下ることが、何よりも悔しい。

1月2日 小雪後晴れ 早月小屋→馬場島→伊折→上市駅
 4時30分起床。小雪。風もなく、入山後で最もマシな天候。小屋の警備隊に下山を告げに行く。我々の下山決断で、小屋の主人と警備隊2名の正月任務は完了。「小屋を畳んで後から追いかけます」とのこと。7時前から下山ラッセル開始。時折、前日下山したパーティのトレースが残っているところもあるが、見た目では分からない。場所によって腰あるいはそれ以上の積雪。登り同様、空身でのラッセルとなる。登ったときより、随分、雪屁が発達している。
 しばらくして、同じく下山を決めた1パーティが追いついてくる。さらにその後、小屋の主人と警備隊2名も合流。早月尾根はやはり長い。下れども下れども、馬場島は遠い。松尾平手前1200m付近からはトレースばっちりでようやく重労働から解放される。
 下り途中、何度か方向を誤る。1920ピーク、1450付近、1200付近の3か所。いずれも経路が湾曲しているポイントだが、ラッセルに集中していると、どうも直進してしまいがち。
 15時30分、無事、馬場島到着。なぜか青空。暑い。伊折までの帰路、振り向くと雲が晴れ、剱岳の雄姿が鮮明に浮かび上がっている。入山中はその片鱗すら拝めなかったにも拘らず・・・。

富山駅では風呂を探すが営業しておらず、やや萎える。しかし、すし屋で寒ブリを食べ、少し機嫌を直して急行能登に乗車、各自帰宅。